一般皮膚科診療内容
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、大抵は2歳をピークに5歳までには発症することが多い、かゆみの強い湿疹が慢性的(6ヶ月以上)に繰り返すものです。お父さん、お母さんなどにアトピー性皮膚炎やぜんそく、鼻炎などがあると遺伝しやすいともいわれています。年齢によって症状が強くでる部位が異なるのも特徴の一つです(乳児期では顔面、幼児期からは首や肘・膝関節の内側、思春期以降は上半身や全身など)。多くは小学校に入る前に治ることが多いのですが,それ以降、成人期まで持続したり、一度治ってから再発することもあります。また思春期以降に発症する人もいます。最近研究がすすみ皮膚のバリア機能の低下が大きくこの疾患の形成に影響を与えていることが分かってきました。また、アトピー性皮膚炎はその後ぜんそくや鼻炎を次々と起こす(アレルギーマーチと呼ばれます)ことが多いのですが、そのアレルゲンや食物アレルギーのアレルゲンも皮膚から侵入し感作される可能性が示唆されてきました。そこで最近は依然よりもまして質の良い保湿剤の適量の使用などによるスキンケアを生後すぐから行うことの重要性が強くいわれるようになってきています。当院ではスタッフ全員でスキンケアのご指導を丁寧に分かりやすく行い皮膚バリア機能の改善に努めています。もちろん湿疹の程度が強い場合には炎症を止める塗り薬や飲み薬を併用します。アトピー性皮膚炎の症状は季節性やストレスなどによっても大きく変化します。ひどい時の炎症止めの塗り薬をずっと使い続けると皮膚が薄くなったり、多毛になったりなどの副作用がでることがあります。その時の症状にあった強さの塗り薬を皮膚科専門医がしっかり選択いたしますので安心して通院されてください。炎症止めの塗り薬は基本的に炎症が強い場合はステロイドのお薬を用いますが症状が落ち着いてきた場合やかゆみの程度、皮膚の状態、患者様の希望などによってはそれ以外のお薬も用います。また、当院ではお薬を塗っても改善しない部分的な強い発疹には従来の紫外線治療よりも効果性、安全性を高めた中波紫外線治療(エキシマーシステム;保険適応あり)も行っています。
じんましん
じんましんとは皮膚が蚊にさされた時のように赤く膨れ、痒みを伴うものです。通常、数時間長くとも1日のうちに跡形なく消えるのが特徴です。消化管が未発達な小さな子どもは食物が原因となることがありますがアレルギーによって起こるじんましんは全体の5%未満といわれています。7割以上は原因がなくちょっとした体調の変化で発症すると考えられています。そのためアレルギーや内臓のお病気を調べるための検査をしても何もみつからないことが多いのです。しかし稀に甲状腺のお病気に合併することがあり、じんましんが長引く場合はその検査を内科でしてもらうことがあります。治療はじんましんを起こすヒスタミンという物質を抑える抗ヒスタミン薬と呼ばれるお薬の服用が治療の基本です。症状が出た時に飲むのではなく出なくなるように毎日定期的に服用します。抗ヒスタミン薬には何種類もあり、人によって効く薬が違います。また、抗ヒスタミン薬は眠気が起こることがあります。車の運転や危険な仕事をする人は気をつけなければいけませんが、最近では眠気のほとんど起こらない薬もでています。慢性じんま疹では、長期にわたり薬を飲み続ける必要がありますが、長期連用による影響はほとんどありません。まずは自分に合った薬を見つけることが大切です。症状に合わせて薬の量を調整しながら徐々に減らしていけば、たいていの症状はうまくコントロールでき、やがては治療を終了させることができます。
水虫
実は水虫と患者さんが思い受診された足にできる発疹の半分くらいは水虫ではないといわれています。水虫のようにみえるお病気は他にもいくつかあります。ですから水虫と診断するには顕微鏡検査によって水虫菌を検出する必要があります。この検査は病変部の皮を少量とるだけでできますから簡単で短時間で結果が分かります。逆にこの検査をせずに見た目だけで水虫と診断しお薬を処方された場合は注意が必要です。実際に水虫であって治ればよいのですが、もし水虫がいなければ悪化することがあり検査をしても水虫菌が検出されず治療に難渋することがあるからです。治療ですが抗真菌薬という塗り薬を用います。皮膚の入れ替わる期間(足の水虫の場合は、軽症で最低3ヶ月ほど、重症例では1~2年)塗り続ければ改善することが多いです。足の角化が強い場合は軟化剤の併用も行うことがあります。前述のとおり水虫を診断するにはしっかりと顕微鏡検査をしなければなりません。それをせずに勝手に水虫として市販薬などを塗ることによりかぶれ、細菌感染症を合併し点滴治療が必要になるなど重症化するかたも多くみうけられます。ですから必ず足に発疹ができたらカビの種類まで鑑別できる皮膚科専門医のいる施設でしっかり診断を受け治療を行うようにしましょう。
爪水虫の治療は、塗り薬では浸透が悪く、飲み薬による治療が必要です。治療期間は、まず6ヶ月間毎日内服を行いその後は経過をみながら一か月単位で飲み薬を追加したりします。しかし飲み薬は肝臓などに負担をかける場合がありますから内服前、内服後1か月、2か月目までは採血による検査が必要です。
爪水虫の治療は、塗り薬では浸透が悪く、飲み薬による治療が必要です。治療期間は、まず6ヶ月間毎日内服を行いその後は経過をみながら一か月単位で飲み薬を追加したりします。しかし飲み薬は肝臓などに負担をかける場合がありますから内服前、内服後1か月、2か月目までは採血による検査が必要です。
とびひ
ほとんどは水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)という、黄色ブドウ球菌が原因で起こる皮膚が膿んでしまうお病気です。皮膚の免疫が発達しきれていない小さい子に好発し、特に初夏から真夏に多く発症します。虫さされやあせも、擦り傷の部位をひっかいて、感染を起こすことが多いのです。 掻き壊したびらんのまわりに小さなみずぶくれが出来て、さらにそのまわりが赤くなってきます。水疱内は、はじめは透明ですが、次第に膿疱化します。水疱や膿疱(みずぶくれの中に膿が入っている)は簡単に破れて、びらんをつくります。水疱内容液や浸出液(びらん面からしみ出て来る液)によってその周囲へと増えて、広がって行きます。化膿止めの塗り薬を塗ったり症状がひどい場合は飲んだりしますが、もともとは湿疹のところにできますから湿疹のぬり薬やかくのを防ぐためかゆみ止めの飲み薬も一緒に使うことがあります。可能ならば1日に2回程石鹸を用いたシャワー浴でしっかり洗い流し(菌が流れていきます)付け替えをします。
掌蹠膿疱症
足の裏や手のひらの小さな膿んだ発疹、赤み、ガサガサした皮膚を特徴としてみられます。ときに水虫のようにみえたり実際に水虫を合併することもあります。原因として、扁桃腺炎や虫歯、歯周囲炎などの感染病巣がある場合は、扁桃摘出や歯科治療により皮疹がよくなる例があります。また喫煙(約8割が喫煙者)や歯科金属のアレルギーの関与も指摘されており、禁煙や歯科金属除去が効果のある場合もあります。しかし、実際はこれらの原因が見つからないことも多く、この場合は症状を抑える治療が主体となります。主にステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏の塗り薬で膿んだ発疹や赤み、ガサガサした皮膚を抑えていきます。症状の増悪はありますが、通常は、平均3~5年ぐらいでよくなってきます。当院では改善をはやめるため中波紫外線治療(エキシマーシステム;保険適応あり)も行っています。副作用なく効果も非常に高いですのでおすすめの治療法です。 また、この病気の約1~3割に、関節症状がみられます。特に前胸部が痛みを伴い腫れることがしばしばあり(胸肋鎖骨間骨化症)、さらに広い範囲に肩や首、腰が痛くなることもあります。この痛みは激しいこともあり、リウマチ科や整形外科の医師と連携して治療します。
アテローマ
アテローマ(粉瘤・ふんりゅう)とは、皮ふの中や下に皮ふのような組織でできた袋を作り、皮ふの生まれかわりによってできるアカなどが、その中にたまってしまってできた腫瘍のことです。放置すると少しずつ大きくなることがあります。できやすい人は身体のどこにでもいくつでもできます。やや盛り上がった数mmから数cmの半球状のしこり(腫瘍)で、しばしば中央に黒点状の開口部があり、強く圧迫すると、臭くてドロドロしたネリ状の物質が出てくることがあります
時に開口部から細菌が入り強い炎症を伴う場合があります。その時はすみやかに局所に麻酔をしたのち切開(表面の皮膚を少し切ること)して、膿みを外に出します。そのような炎症を繰り返さないよう完治させるには外科的切除手術(メスを使ってアテローマを表面の皮膚ごと切り取って縫ってしまう)をすることになります。巨大なものでなければ、当院にて局所麻酔の日帰り手術が可能です(予約制となります)。まずは通常の外来に来ていただき診察後予約をお取りいたします。
時に開口部から細菌が入り強い炎症を伴う場合があります。その時はすみやかに局所に麻酔をしたのち切開(表面の皮膚を少し切ること)して、膿みを外に出します。そのような炎症を繰り返さないよう完治させるには外科的切除手術(メスを使ってアテローマを表面の皮膚ごと切り取って縫ってしまう)をすることになります。巨大なものでなければ、当院にて局所麻酔の日帰り手術が可能です(予約制となります)。まずは通常の外来に来ていただき診察後予約をお取りいたします。
水いぼ
水いぼウイルスによる皮膚への感染症です。見た目は、中央が少し白っぽい(ここにウィルスがいます)その名の通りみずみずしい小さなつぶとしてみられます。体中にたくさんできる子もいます。小さいものはあせもとの見分けが難しいものもあります。感染症といってもお熱が出たり体調が悪くなることはありません。しかし、アトピー性皮膚炎など湿疹ができやすい子にできるとかゆみの原因となり湿疹を悪化させたりすることがあります。小さなものは自然に消えてしまうことがありますが消えずに放置していると小豆くらいの大きさまで大きくなり麻酔をして切り取らなければならないこともあります。さらに保育園や学校によっては水いぼがあるとプールに入れないこともあります。ですからなるべく小さいうちにつまみとることをお勧めいたします。最近は麻酔テープが処置の時に使用することが可能になりました。このテープを処置の1時間から1時間半前に貼るとほとんど痛くなくとることができます。体中にできている子はその後の痛みなどを考え1日10個程度までとることができます。